カメヤ鍼灸舎 のびのび
浜松にある ハリ・灸・手技療術の 東洋医学の治療所です

これもまたアンダーグラウンド

bt0909_300.jpg『美術手帖』のバックナンバーを
図書館で借りて読んでたら、
入れ墨のことが書いてあって、
それで何十年ぶりかでマサルさんのことを思い出した。

マサルさんは地廻りのヤクザで、角刈りで、中肉中背で、
人の良さそうな口元がいつも緩くって、
浅黒い酒焼けの肌をしていた。

マサルさんとはじめて口をきいたのは、
南阿佐ヶ谷の青梅街道のミニストップのすぐ裏にあった
「ぼたん湯」という銭湯だった。
マサルさんは背中に不動明王の入れ墨をしていた。

きっかけは忘れちゃったけど、
左の手のひらを出してもう片方の手でそれに丸を書いて、
「これで4、5万くらいかな」と
入れ墨の代金の話をしてくれた。

マサルさんは彫り師だった。
成田東の税務署の近くの古いビルの3階で仕事をしていた。
「やっぱり和物だな、タトゥーとかああいうのはダメだね。
牡丹とかさ、日本のがいいよ、綺麗で。映えるね。」

マサルさんという名前は本人から聞いたのではなく、
たまたま阿佐ヶ谷の飲み屋で、
そこにいた客が店に入ってきたマサルさんを、
「おい、マサル!」と呼んだので
ああ、あのヤクザ屋さんはマサルさんというんだ、と
僕が勝手に思っただけだ。
だから本当は、マサルさんはマサルさんじゃないのかも
しれない。

入れ墨を彫る機会はなかったけど、
世の中にはそういう人がいるんだと思った。
マサルさん、思い出したよ。何十年ぶり。

鍼灸もまたアンダーグラウンドな世界。
僕はいま人に鍼を刺している。

2009年09月30日 店長の二刀両断「世の中バカなのよ」

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