夢野久作とアキバ考
こんな事件が起こるたびに、
マスコミや評論家は「犯人の心の闇が」とか言うけど。
心の闇なんて誰にでもあるし、
みんな自分でも気づかないデーモンを持ってんだ。
それにさ、「闇」だから見えないじゃん。
見えないから「闇」なんでしょ。
そんな「闇」を論じたところで、わかるわけないモノ。
学校では人の心にデーモンが住まうことなんて、
教えてはくれない。
あたりまえだ。人は大きくなり、やがて自分の内の闇を知る。
そういうものだ、と思う。
たとえばデーモンを昇華させるには、ヤツを「闇」から引きづり出すには、
芸術なんて手段は有効で、
それで人は、絵を描いたり詩をうたったりしてたんだけど。
最近じゃ、お金儲けの為になっちゃってるもんね。
芸術やるのは、デーモンが膨れたキ◯ガイでいいのだ。
そんなことを思っていたら、
夢野久作の散文詩で興味深いのがあることに気づいた。
ちょっと上げておきます。
いまこんなこと子供が書いたらすーぐ問題視されるけど。
こういうのが文学じゃないんでしょうか?
エロスとバイオレンスが、上手いこと解放されることを希望します。
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殺すくらゐ 何でもない
と思ひつゝ人ごみの中を
濶歩して行く
すれちがつた今の女が
眼の前で血まみれになる
白昼の幻想
欲しくもない
トマトを少し噛みやぶり
赤いしづくを滴らしてみる
わが胸に邪悪の森あり
時折りに
啄木鳥の来てたゝきやまずも
ピストルの煙の
にほひばかりでは何か物足らず
手品を見てゐる
頭の中でピチンと何か割れた音
イヒヽヽヽヽ
……と……俺が笑ふ声
あの娘を空屋で殺して置いたのを
誰も知るまい
藍色の空
青空はブルーブラツク
三日月は死の唄を書く
ペン先かいな
脳髄が二つ在つたらばと思ふ
考へてはならぬ
事を考へるため
(夢野久作『猟奇歌』より抜粋、編集)
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2008年06月21日 店長の二刀両断「世の中バカなのよ」